Rosso di Montalcino・CERBAIONA・2017
商品名:ロッソディモンタルチーノ
生産者名:Cerbaiona
品種:サンジョヴェーゼ
地域:イタリア>トスカーナ
カテゴリー:赤
容量:750ml
チェリーや赤系ベリー、杉、湿った土、スパイスがふわりと香る。口に含むと柔らかいテクスチャーの奥に力強さとストラクチャーを感じる。この価格帯で味わえるサンジョヴェーゼとしては間違いなく一線を画している
Cerbaiona
ビオンディ・サンティが所有するクローンを使用
チェルバイオーナはシエナ県モンタルチーノの町から南東に約4km程、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの創始者として知られるビオンディ・サンティから車で東に15分程のチェルバイアと呼ばれるエリアに位置している。チェルバイアは、14世紀頃から農園として知られ、元来この地に住む小作人たちによって古くからオリーヴオイルとワイン造りが行われていた。時代が進むにつれて、チェルバイア近辺にはワイナリーがいくつかできるが、その中でも特に有名なのが、18世紀後半にできた後のチェルバイオーラとなる農園である。実は19世紀中ごろまで、チェルバイオーナとチェルバイオーラはある家系が所有する農園の別々の一部だったのだ。19世紀後半には、それぞれに別の所有者が現れたことで、別々のワイナリーとなった。チェルバイオーナは、1977年からディエゴ・モリナーリによって所有されていた。元アリタリア航空のパイロットとして25年のキャリアを持っていた彼は、ワインへの情熱が人一倍強く、引退を機にモンタルチーノに移り住むことを決意。ワイナリー購入当初、彼にはあふれんばかりの情熱があったが、異業種出身であったため、ワイン造りに関する知識がなかった。しかし、醸造責任者を他から雇うということをしたくなかった彼は、まず関連書物をあさって勉強し、栽培・醸造工程を深く理解するため実際にワイナリーを何件も訪ね回った。その中でも、彼が最も影響を受けたのはビオンディ・サンティで、特に伝統を重んじるという姿勢に共感したのである。そのため、ディエゴは1977年の最初の植樹の際にBBS11 (Brunello Biondi Santi, vine no. 11)と呼ばれるビオンディ・サンティが所有するクローンを使用し、この畑のブドウを使って1981年、初のブルネッロをリリースしたのである。
純粋な好奇心でワインの本質的な美しさ・尊さを味わってほしい
一方で、ジュリオ・サルヴィオーニが所有するチェルバイオーラは、1985年に初のブルネッロをリリース。ジュリオ曰く「僕にブドウを植えるよう勧めてくれたのは、他ならないディエゴだった。1985年の異常寒波がチェルバイオーラに代々植わるオリーヴの樹をダメにしてしまったが、ディエゴの助言があったおかげでブドウを植える決意ができた。」現在、チェルバイオーナは4haの畑を所有している。海抜は350~400m程で、区画はブドウの植樹年(1977年、1986年、2000年)によって大きく3つに分かれている。土壌はガレストロと呼ばれるトスカーナ地方特有の泥灰岩で構成される。ブドウはオーガニック栽培によって育てられ、醸造は15hl、25hl、30hlと大きさの異なる開放型の木製発酵槽を使用。自然酵母による自然なアルコール発酵を行う。過度な抽出をさけるためにルモンタージュは最小限に抑え、果房は手でピジャージュする。そのまま同じ容器でのマロラクティック発酵を行い、翌年の春まで澱と接触させる。その後、10hl、17hl、20hlのスラヴォニアオークの大樽に移し、ロッソでは12ヵ月、ブルネッロでは30ヵ月と規定を上回る樽熟成を行う。チェルバイオーナでは、収穫時にブドウのセレクションを行うだけでなく、セラーでも樽ごとのセレクションを行う。品質に納得がいかなければ全て格下げする程の徹底した品質主義で、ワイナリー購入から数十年の内に一気にスターダムにのし上がった。また、トータルの年間生産量が20000本と希少性が非常に高いことから、カルト・ブルネッロの地位も確立した。しかしながら、健康状態が良くなかったディエゴは、2014年を最後にワイナリー売却を決意。するとすかさず、2015年に投資家のゲイリー・リーチェルと元ビオンディ・サンティでコンサルタントを務めたマシュー・フィオレッティらがチェルバイオーナを購入。新体制となったワイナリーは、2017年2月、ジャーナリストたちに対し「我々のワインに対してスコアやレビューをつけることを一切禁止する」という手紙を書き、数値評価が蔓延する今のワイン業界に一石を投じた。評価ではなく、純粋な好奇心を持ってワインの本質的な美しさ・尊さを味わうという考えは、伝統を尊重するディエゴの意志を確実に受け継いでいると言えるだろう。今後もブルネッロ・ディ・モンタルチーノ最高峰の生産者で居続けることは間違いない。